ダクト内の風速・風量の計算方法|許容風速の基準と計算例を解説
ダクト内の風速と風量の計算は、空調・換気設備設計の基本中の基本です。風速が速すぎると騒音の原因になり、遅すぎると必要な換気量を確保できません。本記事では計算式・許容風速の基準・実際の計算例をわかりやすく解説します。
低速ダクトと高速ダクトの違い
| 区分 | ダクト内風速 | 主な用途 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 低速ダクト | 15 m/s 以下 | 一般空調・換気・排気 | 騒音少・一般施工で多用 |
| 高速ダクト | 15 m/s 超 | 大規模空調(工場・大ホール等) | 省スペース・騒音大・特殊施工 |
💡 現場メモ:一般建築物の空調・換気ダクトはほぼすべて低速ダクトで設計します。高速ダクトは特殊用途に限られます。
ダクト内の許容風速(系統別)
用途・系統によって推奨風速の目安が異なります。騒音と圧力損失のバランスをとって選定します。
| 系統 | 推奨風速 | 許容最大 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 給気(SA)幹線 | 6〜8 m/s | 10 m/s | 騒音・圧力損失のバランス |
| 給気(SA)枝線 | 4〜6 m/s | 8 m/s | 居室近くは低めに設定 |
| 排気(EA/RA)幹線 | 6〜8 m/s | 10 m/s | 給気と同等 |
| 排気(EA/RA)枝線 | 4〜6 m/s | 8 m/s | |
| 外気取入(OA) | 3〜4 m/s | 5 m/s | ルーバー・フィルター前後 |
| 厨房排気 | 6〜10 m/s | 12 m/s | 油分付着防止のため高め |
💡 吹出口・吸込口の面風速は別の基準(給気:3 m/s以下・排気:4 m/s以下)があります。詳しくは「面風速とは|計算方法と許容基準を解説」をご覧ください。
風速の求め方(計算式)
風速は「風量 ÷ 断面積」で求めます。単位に注意して計算してください。
風量の単位が m³/min の場合は ÷ 60、m³/s の場合はそのまま使います。
| ダクト形状 | 断面積の求め方 | 例 |
|---|---|---|
| 円形(φ) | A = π × (D/2)² (D は内径 [m]) | φ250:A = π × 0.125² ≒ 0.0491 m² |
| 角形(W × H) | A = W × H ([m]) | 400×200 mm:A = 0.4 × 0.2 = 0.08 m² |
【計算例①】円形ダクト φ250、風量 1,800 m³/h のときの風速は?
① 断面積:A = π × (0.250 ÷ 2)² = π × 0.125² ≒ 0.04909 m²
② 風速:V = 1,800 ÷ (0.04909 × 3,600) = 1,800 ÷ 176.7 ≒ 10.2 m/s
→ 許容範囲内(幹線10 m/s以下)✓
【計算例②】角形ダクト 400×200、風量 2,000 m³/h のときの風速は?
① 断面積:A = 0.400 × 0.200 = 0.080 m²
② 風速:V = 2,000 ÷ (0.080 × 3,600) = 2,000 ÷ 288 ≒ 6.9 m/s
→ 推奨範囲内(6〜8 m/s)✓
風量の求め方(計算式)
既知の風速とダクトサイズから風量を逆算することもできます。
【計算例③】φ300 のダクトを風速 8 m/s で流したときの風量は?
① 断面積:A = π × (0.300 ÷ 2)² = π × 0.150² ≒ 0.07069 m²
② 風量:Q = 8 × 0.07069 × 3,600 ≒ 2,036 m³/h
ダクトサイズの選定目安
必要断面積から円形・角形ダクトサイズを選定する際の目安表です(50mm単位)。
| 必要断面積 A [m²] | 円形ダクト(50mm単位) | 角形ダクト(目安) |
|---|---|---|
| 〜0.020 | φ160 | 200×100 |
| 0.020〜0.035 | φ200〜φ225 | 300×100〜250×150 |
| 0.035〜0.055 | φ250 | 400×150〜300×200 |
| 0.055〜0.080 | φ300 | 400×200〜350×250 |
| 0.080〜0.125 | φ350〜φ400 | 500×250〜400×300 |
| 0.125〜0.200 | φ400〜φ500 | 600×300〜500×400 |
📐 計算手順:必要断面積 A = Q [m³/h] ÷ (許容風速 [m/s] × 3,600) で求め、表から選定します。Excelで自動計算したい方は下のテンプレートもご活用ください。
現場でよくある失敗3選
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 低速ダクトの定義 | ダクト内風速 15 m/s 以下(一般空調・換気はほぼすべて低速) |
| 推奨風速(幹線) | 6〜8 m/s(最大 10 m/s) |
| 推奨風速(枝線) | 4〜6 m/s(最大 8 m/s) |
| 風速の計算式 | V [m/s] = Q [m³/h] ÷ (A [m²] × 3,600) |
| 風量の計算式 | Q [m³/h] = V [m/s] × A [m²] × 3,600 |
| 円形断面積 | A = π × (D/2)² |
| 角形断面積 | A = W × H |
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