チラー(冷凍機)とは?仕組み・種類・選定方法を新人設備技術者向けにわかりやすく解説
「チラーって何?」「冷凍機と何が違うの?」——設備設計を始めたばかりの方がまず疑問に思うのがチラーです。この記事では、チラーの仕組みから種類・選定方法まで、新人設備技術者向けにわかりやすく解説します。
チラーとは?
チラー(Chiller)とは、冷水を作り出して建物の空調や生産設備を冷やすための冷凍機です。「冷水製造装置」とも呼ばれます。
簡単に言うと、「水を冷やす機械」です。冷やした水(冷水)を配管でファンコイルユニットや空調機に送り込み、室内を冷房します。
エアコンとの違い
家庭用エアコンは冷媒(フロン)を直接室内機に送って冷やします。一方チラーは冷水を媒介として使うのが大きな違いです。
| 項目 | 家庭用エアコン | チラー |
|---|---|---|
| 冷媒の扱い | 室内機まで冷媒が来る | 機械室内で完結 |
| 搬送媒体 | 冷媒(直膨式) | 冷水(水冷式) |
| 用途 | 個別空調 | 中央空調・大規模施設 |
| 主な設置場所 | 各室 | 機械室・屋上 |
チラーの仕組み

チラーは以下の4つの主要部品で構成されています。
- 圧縮機(コンプレッサー):冷媒を圧縮して高温高圧にする
- 凝縮器(コンデンサー):高温の冷媒を冷やして液化する
- 膨張弁:液化した冷媒を膨張させて低温低圧にする
- 蒸発器(エバポレーター):低温の冷媒が水から熱を奪い冷水を作る
この4つのサイクルを繰り返すことで、連続的に冷水を作り続けます。
チラーの種類
① 空冷式チラー
凝縮器を外気で冷やすタイプです。冷却塔(クーリングタワー)が不要で設置が簡単です。
- 設置スペースが比較的小さい
- 冷却水配管が不要
- 水冷式より効率がやや劣る
- 中小規模の建物に多い
② 水冷式チラー
凝縮器を冷却水(冷却塔の水)で冷やすタイプです。効率が高く大規模施設に使われます。
- 冷却効率が高い(COP値が大きい)
- 冷却塔・冷却水ポンプが別途必要
- 大規模ビル・工場・病院に多い
- 維持管理が空冷より複雑
③ 圧縮機の種類による分類
| 種類 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| ターボ冷凍機 | 大容量・高効率 | 大規模ビル・工場 |
| スクリュー冷凍機 | 中〜大容量・安定性高い | 中規模ビル・工場 |
| スクロール冷凍機 | 小〜中容量・低振動 | 中小規模ビル |
| 往復動(レシプロ) | 小容量・旧来型 | 小規模・特殊用途 |
チラーの主要スペックと見方
① 冷凍能力 [kW] または [RT]
チラーが1時間に冷やせる熱量です。1RT(冷凍トン)= 3.517kW です。
② COP(成績係数)
チラーの効率を表す指標です。
COP = 冷凍能力 [kW] ÷ 消費電力 [kW]
COPが大きいほど省エネ性能が高いです。最新の高効率チラーではCOP6〜7以上のものもあります。
③ 冷水出口温度
一般的な空調用チラーの冷水温度は7℃(出口)〜12℃(入口)が標準です。プロセス冷却では用途に応じて設定が変わります。
チラーの選定ポイント
- 必要冷凍能力を計算する(空調負荷計算から算出)
- 空冷か水冷かを決める(設置場所・規模・予算で判断)
- 冷水温度条件を確認する(用途によって異なる)
- 省エネ性能(COP・IPLV)を確認する
- 設置スペース・搬入経路を確認する(ターボは特に大型)
- メンテナンス性を考慮する(冷媒管理・定期点検)
チラーが使われる主な場所
- 大規模オフィスビル:中央空調システムの熱源として
- 病院:24時間安定した冷水供給が必要
- ホテル:客室・宴会場・厨房など多数の空調に対応
- 工場・製造業:生産設備の冷却プロセスに
- データセンター:サーバーの冷却に
- 商業施設:デパート・ショッピングモールの空調に
チラーと関連する設備
チラーは単独では機能せず、以下の設備と組み合わせて使います。
- 冷水ポンプ:チラーで作った冷水を各室に送る
- ファンコイルユニット(FCU):冷水を使って室内を冷やす端末機器
- エアハンドリングユニット(AHU):大容量の空調処理を行う
- 冷却塔(クーリングタワー):水冷式チラーの冷却水を冷やす
- 冷却水ポンプ:冷却塔とチラー間で冷却水を循環させる
まとめ
- チラーは冷水を作る機械で中央空調の熱源として使われる
- 空冷式と水冷式があり、規模・設置条件によって選ぶ
- 圧縮機の種類はターボ・スクリュー・スクロールなどがある
- 選定には冷凍能力・COP・冷水温度条件が重要
- チラー単体でなく冷水ポンプ・FCU・冷却塔とセットで設計する
チラーは大規模建物の空調設計において中心的な設備です。仕組みと種類をしっかり理解して、現場での設計・施工に役立ててください。
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