機外静圧(きがいせいあつ)は、空調・換気設備の設計で必ず登場する言葉ですが、「なんとなく知っているけど説明できない」という若手技術者も多い概念です。本記事では機外静圧とは何か、どうやって計算するか、実務での使い方を初心者向けにわかりやすく解説します。

機外静圧とは?

機外静圧とは、ファン(送風機)がダクト系統に対して送り出せる圧力のことです。

ファンは空気を押し出す力(圧力)を持っています。この圧力が、ダクト内の空気の抵抗(圧力損失)に打ち勝つことで、空気が目的の場所まで届きます。

📌 超シンプルに言うと
機外静圧 = ファンがダクトを押し通せる力
圧力損失 = ダクト系統の空気の抵抗

機外静圧 ≧ 圧力損失 になっていれば、設計した風量が各室に届く

「機内」と「機外」の違い

ファンの仕様書には「全静圧」と「機外静圧」の2つが記載されていることがあります。この違いを整理しておきましょう。

用語意味
全静圧ファン単体が発生できる静圧の総量
機内圧力損失ファン本体・フィルター・コイル・チャンバー等、機器内部の圧力損失
機外静圧全静圧 - 機内圧力損失 = ダクト系統に使える圧力
機外静圧 = 全静圧 - 機内圧力損失
ダクト設計で使う圧力はこの「機外静圧」です
⚠ よくある間違い
カタログの「全静圧」をそのままダクトの圧力損失と比較してしまうと、実際には風量が出ない設計になることがあります。必ず「機外静圧」と比較してください。

圧力損失とは?

機外静圧と比較する「圧力損失」とは、ダクト内を空気が流れる際に生じる摩擦・曲がり・絞りによるエネルギーの損失です。

圧力損失の種類原因
直管部の摩擦損失ダクト内壁との摩擦。長いほど、流速が速いほど大きい
局部抵抗(曲がり・分岐)エルボ・チーズ・ダンパー等による乱流
制気口・グリルの抵抗吹出口・吸込口の通過抵抗

ダクト設計では、給気側・排気側それぞれの最も圧力損失が大きい経路(最遠端系統)の合計圧力損失を計算し、これが機外静圧以下になるようにダクトサイズを決めます。

機外静圧の計算例

実際の設計での流れを見てみましょう。

条件

  • 天井カセット型エアコン(PAC)の機外静圧:30 Pa
  • ダクト系統の圧力損失(最遠端):25 Pa
30 Pa(機外静圧)≧ 25 Pa(圧力損失)→ OK ✅
機外静圧が圧力損失を上回っているので、設計した風量が届く

逆に、圧力損失が機外静圧を超えてしまう場合は、以下の対策が必要です。

対策内容
ダクトサイズを大きくする断面積を増やして流速を下げ、摩擦損失を減らす
ダクト経路を短くする最遠端を短縮してルートを見直す
曲がり・分岐の数を減らす局部抵抗を減らす
機外静圧の高い機種に変更するメーカーの別機種・別シリーズを検討

機外静圧の単位

機外静圧の単位は Pa(パスカル) です。古い資料では mmAq(ミリメートル水柱) が使われていることもあります。

1 mmAq ≒ 9.8 Pa(約10 Pa)
1 Pa ≒ 0.102 mmAq

カタログによってPaとmmAqが混在しているため、比較する際は単位を統一しましょう。

用途別の機外静圧の目安

機器の種類によって、一般的な機外静圧の大きさが異なります。

機器の種類機外静圧の目安備考
天井カセット型エアコン(PAC)0〜30 Pa(機種による)ダクトを長く伸ばすのには不向き
天井埋込ダクト型エアコン30〜150 Paダクト接続前提の機種。中規模向け
エアハンドリングユニット(AHU)100〜300 Pa以上大規模施設向け。高静圧タイプあり
全熱交換器(天井埋込型)50〜150 Pa給排気ダクトそれぞれで確認が必要
送風機(ファンコイルユニット等)機種により大幅に異なるQ-P曲線(性能曲線)で確認する
💡 実務のコツ:天井カセット型エアコン(機外静圧0Pa相当の機種)にダクトを接続すると、すぐに風量不足になります。ダクトを引き回す場合は必ず「ダクト接続対応」と明記された機種(機外静圧30Pa以上)を選んでください。

Q-P曲線(性能曲線)の見方

ファン・送風機のカタログには Q-P曲線(風量-静圧曲線) が記載されています。この曲線の見方を理解することが、機外静圧を正しく使うための重要なポイントです。

  • 横軸:風量(m³/h または m³/min)
  • 縦軸:静圧(Pa または mmAq)
  • 曲線上の点が「その風量のときに発揮できる静圧」を示す
📌 Q-P曲線の読み方

設計風量(例:1,000 m³/h)での縦軸の値が「機外静圧」です。
この値がダクト系統の圧力損失を上回っていれば、設計通りの風量が流れます。

逆に、圧力損失が大きすぎると運転点が左にずれ、風量が落ちてしまいます

実務でよく起きる失敗パターン

❌ 失敗① 機外静圧を確認せずに天カセにダクトを接続する

天井カセット型エアコンの中には、機外静圧が0Paの機種があります。こういった機種にダクトを接続すると、ダクトの抵抗に勝てず風量が激減します。必ず仕様書で「機外静圧:○○Pa」を確認してください。

❌ 失敗② 最遠端だけでなくすべての系統を確認しない

圧力損失の計算は「最も遠い系統」だけでなく、分岐した各ルートでバランスが取れているかも確認が必要です。近い吹出口に風が集中し、遠い吹出口から風が出ないというトラブルが起きます。

❌ 失敗③ フィルター目詰まりを考慮しない

フィルターが目詰まりすると機内圧力損失が増大し、機外静圧が減少します。フィルターは定期清掃・交換を前提として、目詰まり時の圧力損失も考慮した設計が必要です。

まとめ

  • 機外静圧 = 全静圧 ー 機内圧力損失。ダクト系統に使える圧力のこと
  • 機外静圧 ≧ ダクト系統の圧力損失 となるように設計する
  • 単位は Pa(パスカル)。古い資料のmmAqとは 1 mmAq ≒ 10 Pa で換算
  • 天井カセット型エアコンはダクト接続に向かない機種がある(機外静圧0Pa)
  • Q-P曲線(性能曲線)で設計風量時の機外静圧を確認する
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設備施工管理として10年働いております。 図面作成他何かお手伝いできる事がございましたらご連絡お願いいたします 資格・・1級管工事施工管理技士、甲種Ⅰ類消防設備士、電気工事士です どうかぜひとも読んでいって下されば幸いです
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