アスベスト事前調査から結果報告までの流れを解説
アスベスト(石綿)を含む建物の改修・解体工事では、事前調査から結果報告まで法令に定められた手順を踏む必要があります。この記事では、設備工事業者が元請けとして工事を行う際に必要なアスベスト事前調査の流れを、実務経験をもとにわかりやすく解説します。
アスベスト事前調査が必要な工事とは
アスベスト事前調査が必要な工事は、大気汚染防止法・労働安全衛生法に基づき定められています。主に以下の工事が対象です。
- 建築物の解体工事(請負代金の合計額に関わらず対象)
- 建築物の改修工事(請負代金の合計額が100万円以上(税込)の場合)
- 工作物の解体・改修工事(一定規模以上)
設備工事でよくある改修工事(配管更新・ダクト改修・機器更新など)も、請負額が100万円以上であれば対象になります。元請けとして工事を受注した場合は、建築担当だけでなく設備担当分も含めて調査が必要です。
① 事前調査の進め方
事前調査では以下の方法を組み合わせて実施します。
| 調査方法 | 内容 |
|---|---|
| 書面調査 | 建物の竣工年月・使用材料を調べ、アスベスト含有の可能性を判断 |
| 目視調査 | 現地で対象部位を目視確認。ただし目視だけでは判断が難しいケースも多い |
| 分析調査(サンプリング) | 対象物の一部を採取して分析機関に依頼。最も確実な方法 |
| 設計事務所への問い合わせ | 当時の設計者に確認。ただし情報が残っていないケースも多い |
書面調査と現地調査(目視)は原則両方実施することが義務付けられています。どちらか一方を省略することはできません。
② アスベストが不明な場合は「みなし含有」で処理
調査を行っても「含まれているか不明」という結論になる場合があります。主なケースは以下のとおりです。
- 建設年代がアスベスト使用の過渡期にあたり、書面での判断が困難
- 既存建屋に利用者がいるなど、サンプリング採取が困難
- 目視では含有の可能性が排除できない
このような場合は、発注者と協議のうえ「みなし含有(アスベストが含まれているとみなして処理)」として対応します。費用は増加しますが、後から含有が判明して工事が止まるリスクを回避できます。
③ 調査結果の報告(令和4年4月1日以降義務化)
事前調査が完了したら、その結果を着工前に都道府県知事へ報告する義務があります(大気汚染防止法に基づく)。2022年(令和4年)4月1日から義務化されました。
報告は「石綿事前調査結果報告システム(環境省)」からオンラインで行います。
- 報告対象:一定規模以上の解体・改修工事(床面積80m²以上の解体工事など)
- 報告時期:工事着工前
- 報告先:都道府県知事(システムで自動振り分け)
④ レベル1・2に該当する場合は労基署・都道府県への届け出が必要
アスベストが含有していると確認された場合、解体物のレベル区分を判断します。
| レベル | 代表的な材料 | 飛散性 | 届け出先 |
|---|---|---|---|
| レベル1 | 吹付けアスベスト・吹付けロックウール | 高い | 労働基準監督署+都道府県知事 |
| レベル2 | 石綿保温材・耐火被覆材 | 中程度 | 労働基準監督署+都道府県知事 |
| レベル3 | 石綿含有スレート・ビニル床タイル等 | 低い | 届け出不要(適正処理は必要) |
レベル1・2に該当する場合は、工事着工の14日前までに届け出を完了させる必要があります。
現場でよくある失敗3選
アスベスト事前調査は配管保温材・ダクトフランジパッキン等も対象です。建築担当だけに任せると設備部分が漏れ、着工後に是正指導を受けるリスクがあります。
2022年4月以降、石綿事前調査結果の報告は着工前が義務です。未提出のまま着工すると法令違反になります。
レベル1・2の届け出は着工14日前までに完了が必要です。工程が押している場合でも期限は変わりません。
まとめ
- 改修工事100万円以上はアスベスト事前調査が必要(書面+現地目視)
- 調査結果は着工前に都道府県知事へ報告(令和4年4月義務化)
- 不明な場合はみなし含有として処理する
- レベル1・2該当は着工14日前までに届け出が必要
- 設備工事分(保温材・パッキン等)の調査漏れに注意
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