【設備技術者向け】異種金属接続による腐食の原因と対策を図解で解説
【設備技術者向け】異種金属接続による腐食の原因と対策を図解で解説
配管工事において、ライニング鋼管・ステンレス管・銅管などの異なる金属を接続するとトラブルが発生することがあります。本記事では、異種金属接続で起こる「ガルバニック腐食(電位差腐食)」の仕組みと、現場での具体的な対策を解説します。
金属の腐食には8つの種類がある
金属の腐食現象は大きく以下の8種類に分類されます。
- 全面腐食:金属表面全体が均一に腐食する
- 粒界腐食(局部腐食):金属の結晶粒界に沿って起こる腐食
- 孔食(局部腐食):金属表面の一点に深い穴が生じる腐食
- 隙間腐食(局部腐食):金属間の隙間に生じる腐食
- 応力腐食割れ(局部腐食):引張応力と腐食環境の複合作用
- 電位差腐食(ガルバニック腐食):異種金属接触による腐食
- エロージョン・コロージョン:流体の流れによる機械的・化学的腐食
- 酸化・高温腐食:高温環境での酸化による腐食
設備配管において最も注意が必要なのは ⑥ 電位差腐食(ガルバニック腐食) です。
電位差腐食(ガルバニック腐食)とは
異なる種類の金属を水が存在する環境で接触させると、金属間の電位差によって電流が流れ、電位が低い(イオン化しやすい)金属が腐食していきます。これを電位差腐食(ガルバニック腐食)といいます。
なぜ腐食が起きるのか
- 金属はそれぞれ固有の「自然電位」を持っています
- 異なる金属を水(電解液)で繋ぐと、電位差により電子が移動します
- アノード(電位が低い金属):電子を失い酸化反応→腐食が進む
- カソード(電位が高い金属):電子を受け取り還元反応→腐食しにくい
- 水がなければ腐食は起きません(電解液がないと電子が移動できない)
主な金属の自然電位と組み合わせの例
自然電位の差が大きいほど腐食が激しくなります。
| 金属 | 自然電位(目安) | 特徴 |
|---|---|---|
| 亜鉛(Zn) | −1030 mV | 最もアノード側(腐食しやすい)→電気防食に利用 |
| 炭素鋼 | −610 mV | 一般的な鋼管。亜鉛と組み合わせると保護される |
| 銅(Cu) | −100 mV | 炭素鋼と接続すると炭素鋼が腐食する |
| 304ステンレス(不働態) | −80 mV | カソード側。炭素鋼と接続すると炭素鋼が腐食 |
例:炭素鋼管(−610mV)+ステンレス管(−80mV) を直接接続すると、電位差530mVが生じ、炭素鋼管側が急速に腐食します。
現場での対策:絶縁継手・絶縁フランジを使用する
電位差腐食を防ぐには、異種金属間に絶縁材を挟んで電気的に絶縁する方法が有効です。
絶縁フランジの構成部品
- 絶縁コートフランジ:フランジ表面に絶縁コーティングを施したもの
- 絶縁パッキン:フランジ間に挟む絶縁材のパッキン(ガスケット)
- 絶縁ボルト・ナット:ボルト穴にも絶縁スリーブを通して完全絶縁
これら3点すべてを使用することで、フランジを介した電気的な接続を遮断し、ガルバニック腐食を防止します。(出典:株式会社ベンカン)
ステンレス鋼管と異種金属の接続可否
ステンレス協会 配管システム普及委員会「ステンレス鋼管と異種金属とを接続する場合の絶縁施工について」によると、接続する金属の組み合わせによって絶縁の要否が定められています。
- ステンレス+炭素鋼(鋼管):絶縁施工が必要
- ステンレス+銅管:絶縁施工が必要
- ステンレス+亜鉛めっき鋼管:絶縁施工が必要
- ステンレス同士:絶縁不要
現場では絶縁ユニオン・絶縁継手・絶縁フランジを使用して施工します。
まとめ
- 異種金属を水中(配管内)で接触させると電位差腐食が起きる
- 電位の低い金属(炭素鋼・亜鉛めっき鋼管など)が腐食する
- 水がなければ腐食は起きないが、配管内は常に水があるため注意が必要
- 対策は絶縁フランジ・絶縁継手による電気的絶縁
- 絶縁フランジはコートフランジ・絶縁パッキン・絶縁ボルトの3点セットで使用する
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