フードの大きさからファンの排気量を求める計算式
厨房・工場・飲食店の換気設計で必ず必要になるのが、フードの大きさから排気量(風量)を求める計算です。この記事では計算式の意味から例題・ファン選定まで、現場で使えるレベルで解説します。
フード換気の基本:なぜフードサイズから計算するのか
厨房フードは、調理機器から発生する熱・油煙・臭気を捕捉して排気するための設備です。フードの開口面(面積)に対して一定以上の風速(面風速)を確保することで、油煙が漏れ出さず確実に排気できます。
面風速が不足すると油煙が厨房内に漏れ出し、グリスフィルターへの負荷増大・火災リスク・作業環境悪化につながります。逆に過大すぎると省エネ上のムダになります。
計算式
フード開口面積から排気量を求める式
| 記号 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| Q | 必要排気量 | m³/h |
| A | フード開口面積(L × W) | m² |
| v | 面風速 | m/s |
| 3600 | 秒→時間換算係数 | – |
Q(m³/h)= A(m²)× v(m/s)× 3600
面風速の目安
| フードの種類・用途 | 推奨面風速 |
|---|---|
| 一般厨房(グリスフィルター付き) | 0.3 m/s |
| 揚げ物・炒め物など油煙多い調理 | 0.3〜0.5 m/s |
| ラーメン店・焼肉店など強火調理 | 0.4〜0.5 m/s |
| 実験室・工場(薬品・粉塵) | 0.5〜1.0 m/s |
一般厨房では 0.3 m/s が基準値として広く使われています(ホーコス・三菱電機などのメーカー推奨値)。
計算例(ステップごとに解説)
例題
フードの大きさが L=1.2 m × W=0.8 m、面風速を 0.3 m/s として必要排気量を求めよ。
解き方
- フード開口面積を計算する
A = 1.2 × 0.8 = 0.96 m² - 排気量の計算式に代入する
Q = 0.96 × 0.3 × 3600 = 1,036.8 → 約 1,040 m³/h - 答え
必要排気量は 1,040 m³/h
ファン選定のポイント:静圧にも注意する
排気量(風量)だけでなく、静圧(Pa)も合わせて確認することが重要です。ダクト抵抗・グリスフィルターの目詰まりを考慮した選定が必要です。
静圧の目安
| 条件 | 想定静圧 |
|---|---|
| グリスフィルター(清潔な状態) | 約 50〜100 Pa |
| グリスフィルター(油付着あり) | 約 150〜200 Pa |
| ダクト抵抗(短距離) | 約 50〜100 Pa |
| 合計(一般的な厨房) | 200 Pa 程度を見込む |
カタログのファン性能曲線で 静圧 200 Pa 時に 1,040 m³/h 以上 を確保できる機種を選定します。
選定例(三菱電機カタログ)
今回の例題(1,040 m³/h・静圧 200 Pa)では、BSF150SXA クラスの厨房用換気扇が対応します。実際の選定ではメーカーカタログの性能曲線を必ず確認してください。
もう一つの計算方法:ガス消費量から求める換気量
厨房換気には、フードサイズから求める方法のほかに、調理機器のガス消費量(kW)から必要換気量を求める方法もあります。
| 計算方法 | 主な用途 | 特徴 |
|---|---|---|
| フードサイズ(面風速)法 | フードサイズが先に決まっている場合 | シンプル・現場で使いやすい |
| ガス消費量法 | 調理機器の仕様から設計する場合 | より精密・確認申請向き |
ガス消費量から求める計算式(フード係数法)については別記事で解説しています。両方の方法で計算して、大きい方の値を採用するのが安全側の設計です。
現場チェックリスト
- フードの開口寸法(L・W)を図面で確認した
- 面風速 0.3 m/s(強火調理は 0.4〜0.5)を適用した
- グリスフィルター抵抗を含めて静圧 200 Pa 以上で選定した
- ダクト系統の全抵抗をファン選定に反映した
- ガス消費量法との比較を行い、大きい方を採用した
- メーカーカタログの性能曲線で動作点を確認した
まとめ
フードの大きさから排気量を求める計算は Q = A × v × 3600 のシンプルな式です。ただし、ファン選定では静圧(200 Pa 程度)も必ず考慮してください。グリスフィルターが汚れると抵抗が増大し、風量が落ちて油煙が漏れ出す原因になります。
設計時はフードサイズ法とガス消費量法の両方で計算し、安全側の値を採用することで確実な換気設備を実現できます。
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