設備についての話

喫煙室で使用する換気機器の選定方法

受動喫煙防止法のために近年は屋内の建物では原則禁煙となっていますが建屋内にどうしても喫煙室を設けたい場合は技術基準に適合した換気設備を設けないといけません。

要は「タバコの煙を少しでも喫煙室以外に出してはならない!」という事です。

煙や匂いを全く外部に出さなくするポイントは「換気設備」なのです。

つまり設備屋の出番です。

喫煙室に設けられるファンの選定方法を紹介

労働安全衛生法の第68条の2で受動喫煙の防止を説明しています。

長々とした説明で何が言いたいのかというと、「喫煙室を建屋内に設けた場合、受動喫煙を防止するためにたばこを吸わない人の健康を守りなさいよ。そのために煙を出さないように基準値を満たした換気設備を設置してください!という事です

「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」の趣旨

• 安衛法第 68 条の2(前のスライド)の規定は、職場における労働者の安全と健康の保護を目的として、労働者の受動喫煙を防止するための措置について、事業者に努力義務が課せられたもの

• 改正された健康増進法の規定は、国民の健康の向上を目的として、多数の者が利用する施設等の管理権原者等に、当該多数の者の望まない受動喫煙を防止するための措置義務が課せられたもの

• 「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」は、健康増進法で義務付けられる事項及び安衛法の努力義務により事業者が実施すべき事項を一体的に示されたもの

引用元 厚生労働省「職場における受動喫煙防止のために」

厚生労働省「職場における受動喫煙防止のために」

扉の大きさから実際に計算を行う(例題)ファンの選定根拠となる計算とドアガラリの計算方法

さっそく例から計算してみましょう。

排気ファンの計算例

ドアの寸法 横1m 縦2.1mとする

排気ファンの計算方法

・開口部 2.1×1=2.1㎡

・面風速 0.2m/S (ドア入口付近での必要面風速)

・必要換気量 2.1×0.2×3600=1512㎥/h

・1550㎥/hの風量が出せる排気ファンを選定する必要があります

ガラリとは外気を取り入れるための通気口です。

ガラリの大きさが小さすぎると外気を取り込む量が少なくなり、扉を締め切った状態でファンを稼働させた際に「音がうるさい」「給気量が少なくきちんと排気しない」などの問題が発生するのできちんと計算する必要があります

必要なドアガラリサイズの計算をしていきましょう

ドアガラリ必要なサイズの計算方法

*1550㎥/hの際の必要ガラリ面積は?

1550÷(3600×2)=0.215㎡

約0.22㎡のガラリが必要となります

縦2m 横0.15mのガラリです

風量調整のために、VD(ボリュームダンパー)を忘れずに入れよう

ファンの大きさやガラリの大きさを確認して完璧と思っても最後はやはり何らかの調整が必要です。

特に風量調整は必須なのでVD(ボリュームダンパー)は必ず入れましょう。

VDとは

VDとはボリュームダンパーの事です。

風量を調整するためにダクト配管部に接続します

フカガワホームページ

画像 フカガワHPから

もしガラリが実際要望したものより少し小さい場合があるかもしれません。

その際は必ず風切り音が出ますのでVDで調整して音が出ないくらいまで調整しましょう

おそらくその場合VDを絞ってもガラリでの風速は0.2m/s出ると思います

まとめ

今回安全衛生法において受動喫煙防止について排気設備の技術的ガイドラインを紹介しました。

ポイントは以下になります

確認ポイント
  1. 建屋内に喫煙室を設ける場合、その部屋の室外から室内への排気風速が0.2m/s以上必要
  2. ファンの選定計算方法 *ドア開口部(縦×横)×0.2m/S×3600 (例)2.1×1×0.2×3600=1512㎥=1550㎥
  3. ファンを選定したら外気を取り込むためにドアガラリの大きさを計算する
  4. ドアガラリの計算方法 *ファンの排気風量(例題より)1550㎥÷(3600×2)=0.215㎡ 縦2.1m 横0.15mは必要
  5. 風量調節のためのダンパーを忘れず取り付ける事

新規工事案件で建屋内に喫煙室があれば排気設備は適切に設計されているか注意しましょう。

ABOUT ME
繊細な設備屋けー君
子ども3人の子育てをしながら、建設業界の設備屋として約10年働いています。 日々精神的に追い詰められながら奮闘しています。 建設業界には絶対マッチしない繊細な気質でありながらも自身を変えていく過程や施工管理として働いて体験した内容をブログにて示したいと思います。 子育ての奮闘記もブログに記していきたいです。 私には目標がありその目標を達成したいと思います。 資格・・1級管工事施工管理技士、甲種Ⅰ類消防設備士、電気工事士です どうかぜひとも読んでいって下されば幸いです