面積区画と竪穴区画について解説
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設備工事を行う上で避けて通れないのが防火区画への対応です。スリーブ・ダクト・配管が防火区画を貫通する際は、法令に基づいた処理が必要となります。この記事では、設備技術者が特に押さえるべき「面積区画」と「竪穴区画」について、それぞれ詳しく解説します。
コンテンツ
防火区画とは?(まず基本を押さえる)
防火区画とは、火災が建物内で燃え広がるのを防ぎ、被害を局部的にとどめるために設ける区画です。建築基準法施行令第112条に規定されており、主に以下の4種類があります。
| 区画の種類 | 目的 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 面積区画 | 一定面積ごとに火災の拡大を防ぐ | 建基令第112条第1項〜第4項 |
| 竪穴区画 | 上下方向への火・煙の拡大を防ぐ | 建基令第112条第11項〜第13項 |
| 異種用途区画 | 用途の異なる部分を区画 | 建基令第112条第18項 |
| 高層区画 | 高層建築物の上下拡大を防ぐ | 建基令第112条第5項〜第7項 |
面積区画とは
面積区画とは、一定の床面積ごとに耐火構造の床・壁・特定防火設備で区切ることで、火災が水平方向に広がるのを防ぐ区画です。
面積区画の基準(建築基準法施行令第112条)
区画面積の数値が小さいほど厳しい基準になります。建物の構造・用途によって以下のように異なります。
| 建物の種類 | 区画面積 | 区画に使う構造 |
|---|---|---|
| 主要構造部を耐火構造とした建築物 | 1,500m²以内ごと | 耐火構造の床・壁+特定防火設備 |
| 任意の準耐火建築物(自発的に準耐火建築物とした場合) | 1,500m²以内ごと | 1時間準耐火構造の床・壁+特定防火設備 |
| 義務の準耐火建築物(法令により準耐火建築物とされた場合) | 500m²以内または1,000m²以内ごと | 1時間準耐火構造の床・壁+特定防火設備 |
任意 vs 義務の準耐火建築物とは?
| 任意の準耐火建築物 | 義務の準耐火建築物 | |
|---|---|---|
| 意味 | 建築主が自分の意思で準耐火建築物にした建物 | 法令(建基法)により準耐火建築物にしなければならない建物 |
| 区画面積 | 1,500m²以内ごと | 500m²または1,000m²以内ごと(用途・階数による) |
| 厳しさ | 比較的緩やか | より厳しい |
面積区画の緩和・免除(知っておくべきケース)
以下の場合は面積区画が緩和または免除されます。
- 劇場・映画館・体育館など、その用途上やむを得ない場合
- 階段室・エレベーター機械室など技術的に区画困難な部分
- スプリンクラー等の自動消火設備を設けた場合は区画面積を2倍まで緩和可能
設備技術者が注意すること(面積区画)
- 配管・ダクトが区画壁・区画床を貫通する際は防火措置(防火ダンパー・防火区画貫通処理)が必要
- 区画の位置は建築図面で必ず確認する
- 電気設備・ケーブルトレイも貫通処理が必要(建基令第129条の2の5)
- スリーブ位置を決める前に区画の種類を確認すること
竪穴区画とは
竪穴区画とは、建物内の上下階を貫通する空間(竪穴部分)において、火災時に煙や炎が上下方向に急速に広がるのを防ぐために設ける区画です。
火災時、煙は非常に速く上方向へ拡散します。竪穴部分(階段・エレベーター・ダクトシャフトなど)はその通路になりやすいため、耐火性能のある壁・扉で封じ込めることが求められます。
竪穴区画が必要な場所
以下のような「上下階を連通させる開口部・空間」がある部分に竪穴区画を設ける必要があります。
| 竪穴部分 | 具体例 | 設備との関係 |
|---|---|---|
| 階段室 | 屋内階段・特別避難階段 | 扉は特定防火設備(常時閉鎖式) |
| エレベーターシャフト | 乗用・荷物用エレベーター | ELV扉は遮煙性能が必要 |
| ダクトシャフト | 空調竪ダクト・排気ダクト | 防火ダンパー(FD)設置が必要 |
| パイプスペース(PS) | 給排水・ガス配管竪管 | 壁貫通部に防火措置が必要 |
| 電気シャフト(EPS) | 幹線ケーブル・通信配管 | 耐火区画貫通処理が必要 |
| 吹抜け | アトリウム・吹抜けロビー | 規模・用途により竪穴扱いになる場合あり |
| 小荷物専用昇降機 | ダムウェーター | シャフト部は区画処理が必要 |
| リフト類 | リネンシュート・ゴミシュート | シャフト区画が必要 |
竪穴区画の構造要件
- 区画壁:耐火構造または準耐火構造の壁
- 区画扉:特定防火設備(遮炎性能1時間)または防火設備(遮炎性能20分)
- ダクト貫通部:防火ダンパー(FD)の設置
- 配管貫通部:防火区画貫通処理材(耐火パテ・耐火スリーブ等)の使用
設備技術者が注意すること(竪穴区画)
- PSやEPSが竪穴区画に該当する場合、各階で区画処理が必要(扉・壁・床貫通処理)
- 竪ダクトが防火区画を貫通する場合は各階に防火ダンパー(FD)を設置する
- PSの扉は防火設備(20分遮炎)以上が必要な場合がある
- スリーブ開口は区画が確定してから設ける(後から穴を開けると処理が困難になる)
- ダクト系統図にFD位置を明記して、竣工図に反映させる
面積区画と竪穴区画の違い【比較表】
| 比較項目 | 面積区画 | 竪穴区画 |
|---|---|---|
| 目的 | 水平方向への火災拡大防止 | 上下方向への火・煙の拡大防止 |
| 対象 | 一定面積を超える床・壁 | 階段・ELV・PS・EPSなど竪穴部分 |
| 区画材料 | 耐火構造の床・壁+特定防火設備 | 耐火壁・特定防火設備・防火設備 |
| 設備の対応 | 貫通部に防火処理・FD | 各階FD・PS扉・貫通処理 |
| 根拠条文 | 建基令第112条第1項〜 | 建基令第112条第11項〜 |
防火ダンパー(FD)の役割
防火ダンパー(Fire Damper)は、ダクトが防火区画を貫通する部分に設置する装置です。火災時に自動で閉じて、ダクトを通じた延焼を防ぎます。
- 設置義務:防火区画(面積区画・竪穴区画)を貫通するダクトすべて
- 作動温度:一般的に72℃(温度ヒューズ方式)で自動閉鎖
- 防煙ダンパー(SD)との違い:SDは煙感知器と連動して閉じる。FDは温度で閉じる
- 点検義務:消防法・建基法に基づき定期的な作動確認が必要
まとめ
- 面積区画は水平方向の火災拡大を防ぐ区画。建物種別で1,500m²または500m²ごとに設ける
- 竪穴区画は上下方向への煙・炎の拡大を防ぐ。PS・EPS・階段室・ELVシャフトが対象
- 設備技術者は区画貫通部の防火ダンパー・貫通処理材の設置を必ず確認する
- スリーブ位置は区画図面の確認後に決定し、貫通処理の記録(竣工図)を必ず残す
- スプリンクラー設置で面積区画は2倍緩和される場合あり
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