受水槽方式とは|仕組み・容量計算・設置基準を現場目線で解説
受水槽方式(加圧方式)とは、水道本管から一度受水槽に水を貯め、加圧ポンプで各所に送水する給水方式です。3階以上の建物や大規模施設では、直圧式では水圧が足りないため受水槽方式が採用されます。本記事では受水槽の仕組み・容量計算・設置基準を現場目線で解説します。
給水方式の4種類と比較
建物の規模・用途・階数によって採用される給水方式は異なります。代表的な4種類を比較します。
| 給水方式 | 仕組み | 主な用途 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 直圧式 | 水道本管の圧力をそのまま利用 | 一般住宅・低層建物 | シンプル・維持費が安い |
| 受水槽(加圧)式 | 受水槽→加圧ポンプで送水 | 3階以上・マンション・ビル・病院 | 大量給水対応・停電時も一定時間給水可 |
| 増圧直結式 | 水道本管に増圧ポンプを直結 | 中高層マンション | 受水槽不要・衛生的 |
| 重力式(高架水槽) | 屋上の高架水槽に貯水→重力で給水 | 病院・大規模施設(旧来型) | 停電に強い・設置スペースが必要 |
💡 ポイント:3階以上・延べ床面積が大きい建物では、水道局から受水槽方式の採用を指示される場合があります。着工前に必ず水道局と協議してください。
受水槽の構造と材質
受水槽は単なる「水タンク」ではなく、構造・材質・付属設備まで法的要件が定められています。
🏗 2槽式構造
受水槽は基本的に2槽式(水を貯める層が2つ)で設計します。清掃時に片方を断水したまま、もう片方で給水を継続できるため、建物の断水を防げます。
⚙️ 揚水ポンプ
受水槽から各所への送水には加圧ポンプ2台(1台予備)が必要です。故障時も断水しないよう交互運転・自動切替が基本仕様です。
| 材質 | 特徴 | 採用頻度 |
|---|---|---|
| FRP(繊維強化プラスチック) | 軽量・錆びない・コストバランス良好 | ◎ 最も一般的 |
| SUS(ステンレス鋼) | 衛生的・高耐久・高価 | ○ 病院・食品施設 |
| 鋼板製(エポキシ内面塗装) | 大容量対応・重い | △ 大型施設 |
| RC(鉄筋コンクリート) | 地下ピット等・防振に優れる | △ 大規模建物 |
受水槽の容量計算
受水槽の容量は「1日使用水量の1/3〜1/2」が基本です。用途別の1日使用水量の目安は以下のとおりです。
| 用途 | 1日あたり使用水量の目安 | 受水槽容量 |
|---|---|---|
| マンション | 250 L/人 | 1日使用量 × 1/3 〜 1/2 |
| 事務所 | 100 L/人(在館者) | 同上 |
| ホテル(客室) | 400 L/床 | 同上 |
| 病院 | 500〜1,000 L/床 | 同上 |
| 学校 | 70〜100 L/人 | 同上 |
📐 計算例:50戸・1戸2.5人のマンション → 1日使用量 = 50×2.5×250 = 31,250 L。受水槽容量 = 31,250 × 0.4(約1/2.5)≒ 12,000〜15,000 L が目安。
受水槽の設置基準・確認事項
受水槽の設置には法定のスペース確保・衛生管理基準があります。設計・施工時に必ず確認しましょう。
| 確認項目 | 基準・目安 | 根拠 |
|---|---|---|
| 保守点検スペース(側面・背面) | 60 cm以上 | 建築基準法施行令 |
| 保守点検スペース(上部) | 100 cm以上 | 同上 |
| 受水槽の有効容量 | 全容量 × 0.85〜0.9が目安 | 底部デッドスペースを除く |
| オーバーフロー管 | 間接排水(排水口空間確保) | 衛生上の逆流防止 |
| 定水位弁(ボールタップ) | 設置・定期点検必須 | 過充水防止 |
| 清掃・水質検査 | 年1回以上(有効容量10m³超) | 水道法・建築物衛生法 |
現場でよくある失敗3選
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受水槽方式の採用条件 | 3階以上・大型建物・水道局指示がある場合 |
| 受水槽容量の目安 | 1日使用水量 × 1/3 〜 1/2 |
| 槽の構造 | 2槽式(清掃時断水防止) |
| 材質 | FRP(一般)・SUS(病院・食品) |
| ポンプ台数 | 2台(1台予備・自動切替) |
| 保守点検スペース | 側面60cm以上・上部100cm以上 |
| 清掃・水質検査 | 年1回以上(有効容量10m³超) |
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