地下駐車場の一酸化炭素:安全確保のために知っておくべきこと
先日1年間かけて行った地下駐車場の改修工事が竣工を迎えました。とても長く色々な意味でハードでした。設備屋を改めてリタイアしたいと感じた現場でした・・
今回は、地下駐車場において安全管理上とても重要となる一酸化炭素(CO)についてお話しします。
地下駐車場はとても便利な施設ですが、車の排気ガスも発生するため安全管理はとても重要です
健康を守るために必要な情報と対策を共有したいと思います。
法規制と基準。原則はCO濃度50ppm以下。換気設備を儲ける場合は25ppm以下。
日本では、建築基準法や労働安全衛生法に基づいての基準値はCO濃度が50ppmを超えないようにすることが求められています。
ですが、換気設備を設けた場合はCO濃度が25ppm以下になるように運用する事をお勧めします。
私が行った工事はシステムをCO濃度10ppmを超えるとファンが自動的に運転するように設定しています。
こちらは基準値として私の意見ですが、工事発注者と協議し設定を進めていただければと思います。
国土交通省からの出典です。54ページに基準値が記載されています
一酸化炭素とは?
一酸化炭素は無色・無臭の有毒ガスで、車両の排気ガスや不完全燃焼によって発生します。特に地下駐車場のような閉鎖空間では、COが蓄積しやすいため、注意が必要です。
一酸化炭素の健康への影響
一酸化炭素は血液中のヘモグロビンと結びつき、酸素の運搬を妨げます。これにより、以下のような健康リスクが生じます:
- 軽度の中毒症状
- 頭痛
- めまい
- 吐き気
- 疲労感
- 中度の中毒症状
- 胸痛
- 視覚障害
- 呼吸困難
- 重度の中毒症状
- 意識喪失
- けいれん
- 死亡
地下駐車場における一酸化炭素の管理方法
地下駐車場での一酸化炭素濃度を安全なレベルに保つためには、以下の対策が重要です:
- 換気システムの導入
- 定期的な換気により、新鮮な空気を取り入れ、CO濃度を下げることができます。特に車両の出入りが多い時間帯には、換気を強化することが推奨されます。
- 一酸化炭素検知器の設置
- 駐車場内に一酸化炭素検知器を設置し、リアルタイムで濃度を監視します。一定レベルを超えた場合に警報を発することで、迅速な対応が可能です。
- 定期的な点検とメンテナンス
- 換気設備や検知器の定期的な点検とメンテナンスを行い、常に正常に機能するようにします。
- 車両のアイドリングストップ
- 車両のエンジンをかけたまま放置しないようにすることで、排気ガスの発生を抑えます。
今回改修工事の中で換気システムの更新を行いました。内容としてはCOセンサーを新たに取り付け、自動制御システムを組み込みました。
一酸化炭素濃度が設定した基準値を上回った際に給気、排気ファンが連動して動く仕組みです。駐車場へ車を乗り入れる際に高さの制限が合ったため、機械の入れ替えには非常に苦労しました。
緊急時の対応
万が一、一酸化炭素中毒の症状が見られた場合は、以下の対策を迅速に行うことが重要です:
- 新鮮な空気を吸入
- 直ちに地下駐車場から出て、屋外の新鮮な空気を吸入します。
- 医療機関への連絡
- 症状が重い場合や改善しない場合は、すぐに医療機関に連絡し、適切な処置を受けます。
最後に
今回、規模の大きい地下駐車場の改修工事でした。設備屋として良い経験をさせていただきました。
地下駐車場における一酸化炭素管理は、安全で快適な環境を維持するために欠かせません。適切な対策を講じることで、健康リスクを最小限に抑え、利用者が安心して利用できる空間を提供することができます。皆さんも地下駐車場を利用する際には、換気状況や注意喚起のサインに気を配り、安全に過ごしていただければと思います。