全熱交換器(ぜんねつこうかんき)は、換気の際に捨てていた熱を回収して省エネにつなげる装置です。空調負荷の削減・室内環境の改善の両面で効果があり、オフィスビル・病院・ホテルなど多くの建物で採用されています。この記事では全熱交換器の仕組み・種類・選定方法をわかりやすく解説します。

全熱交換器とは

通常の換気では、室内の空調済み空気(暖房・冷房した空気)をそのまま屋外へ排出し、外気をそのまま取り入れます。これにより空調エネルギーが無駄になります。

全熱交換器は、排気と給気の間で「温度(顕熱)」と「湿度(潜熱)」の両方を同時に交換する装置です。これにより外気を室内温度・湿度に近い状態に調整してから取り入れるため、空調負荷を大幅に削減できます。

全熱 = 顕熱(温度)+ 潜熱(湿度)

顕熱交換器:温度のみ回収
全熱交換器:温度+湿度を同時回収 → より高い省エネ効果

全熱交換器の仕組み

全熱交換器の中心部には全熱交換素子(エレメント)があります。排気と給気が素子を通過する際に、熱と水分(湿気)が移動することで熱回収が行われます。

  • 冬季:暖かい排気から冷たい外気へ熱・湿気を移動 → 室内への冷たい外気侵入を抑制
  • 夏季:冷えた排気から暑い外気へ熱を移動(外気の熱を排気側へ逃がす) → 室内への熱・湿気侵入を抑制

全熱交換器の種類

種類特徴主な用途
ロータリー式(回転型)回転するハニカム状素子で熱交換。熱交換効率が高い(70〜85%)大型空調機組込み・工場・大規模施設
静止型(固定板式)固定した素子で熱交換。構造がシンプルで保守しやすい住宅・小〜中規模ビル・天井カセット型

住宅・小規模ビルでは天井埋込型の静止型が主流で、ダイキン・三菱電機・パナソニックなど各社から製品がラインナップされています。

全熱交換器の選定方法

① 必要換気量の算出

まず対象室の必要換気量(m³/h)を算出します。建築基準法のシックハウス対策(0.5回/h)や用途別換気回数基準に基づいて計算します。

必要換気量(m³/h)= 室容積(m³)× 換気回数(回/h)

② 熱交換効率の確認

全熱交換器の性能を表す指標が全熱交換効率(η)です。一般的な製品で60〜75%、高性能品で80%以上のものがあります。

熱回収量(kW)= Q × ρ × Cp × ΔT × η ÷ 3600

Q:風量(m³/h)、ρ:空気密度(1.2 kg/m³)、Cp:比熱(1.006 kJ/kg・K)
ΔT:内外温度差(K)、η:全熱交換効率

③ 機種選定のポイント

確認項目内容
風量(m³/h)必要換気量以上の機種を選ぶ
全熱交換効率高いほど省エネ(60%以上が目安)
静圧(Pa)ダクト抵抗に見合った静圧性能
外形寸法・天井高設置スペースとの整合確認
バイパス機能中間期(春・秋)に熱交換をバイパスできるか

全熱交換器の省エネ効果

換気による空調負荷は建物全体の10〜30%を占めることがあります。全熱交換器を設置することで、この換気負荷を効率60〜75%分削減できます。PAL*(外皮平均日射熱取得率)やBEI(建築物エネルギー消費量比)の改善にも貢献するため、省エネ基準への適合を求められる建物では採用が推奨されます。

まとめ

  • 全熱交換器は換気の排気から温度と湿度の両方を回収する装置
  • 種類はロータリー式(大型向け)静止型(小〜中規模向け)の2種類が主流
  • 選定では必要換気量・熱交換効率・静圧・バイパス機能を確認する
  • 換気による空調負荷を60〜75%削減でき、省エネ基準対応にも有効

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繊細な設備屋けー君
設備施工管理として10年働いております。 図面作成他何かお手伝いできる事がございましたらご連絡お願いいたします 資格・・1級管工事施工管理技士、甲種Ⅰ類消防設備士、電気工事士です どうかぜひとも読んでいって下されば幸いです