「計算式が多くて現場で使いにくい」という声に応えて、表を見て掛け算するだけの概算法を紹介します。精密計算より多少の誤差はありますが、機器選定の目安として十分使えます。

今回の配管図(条件を確認)

FAN 送風機 ① 直管 L = 5m エルボ 90° ② 直管 L = 3m エルボ 90° ③ 直管 L = 2m 吹出口 【条件】 ダクト径:φ300(0.3m) 風  速:8 m/s

直管:5m + 3m + 2m = 合計 10m  90°エルボ:2か所  φ300 風速 8m/s

風速 8 m/s の根拠は?10 m/s だとダメなの?

設計に使う風速には推奨範囲があり、外れると騒音や電力コストの問題が生じます。

場所・用途推奨風速理由
居室・事務所(分岐ダクト)3〜6 m/s静かさを優先
主ダクト(幹線)← 今回の例6〜8 m/s ✅騒音と経済性のバランス
工場・機械室8〜12 m/s騒音より省スペース優先
高速ダクト(大型ビル)15〜20 m/sダクトを細くしてスペース節約
風速φ300の圧力損失(1mあたり)この配管図全体(等価長さ26m)騒音の目安
6 m/s1.5 Pa/m約 39 Pa静か
8 m/s ✅2.6 Pa/m約 68 Pa許容範囲
10 m/s ⚠️4.0 Pa/m約 104 Pa騒音が出やすい
12 m/s ❌5.8 Pa/m約 151 PaうるさくてNG

⚠️ 10 m/s が「ダメ」というわけではありませんが、事務所・居室のような静かさが求められる場所では騒音クレームになりやすいです。工場や機械室なら 10 m/s でも問題ないケースがほとんどです。
💡 「どこに設置するか」で適切な風速が変わる——これが設計のポイントです。

概算のやり方:たった2ステップ

🔑 概算の考え方

エルボは「直管の何m分か」に換算できます。これを等価長さ(換算長さ)といいます。

直管の長さ + エルボの換算長さ = 等価長さ
等価長さ × 1mあたりの圧力損失 = 必要静圧(概算)

【表①】エルボ1つの換算長さ(90°)

ダクト径90°エルボ 1つ ≒
φ 100mm約 3m
φ 150mm約 4m
φ 200mm約 5m
φ 300mm ←今回約 8m
φ 400mm約 10m
φ 500mm約 13m

【表②】1mあたりの圧力損失(Pa/m)

ダクト径風速 6 m/s風速 8 m/s
←今回
風速 10 m/s
φ 100mm4.3 Pa/m7.7 Pa/m12.0 Pa/m
φ 150mm3.2 Pa/m5.6 Pa/m8.8 Pa/m
φ 200mm2.2 Pa/m3.8 Pa/m6.0 Pa/m
φ 300mm1.5 Pa/m2.6 Pa/m4.0 Pa/m
φ 400mm1.1 Pa/m2.0 Pa/m3.1 Pa/m
φ 500mm0.9 Pa/m1.5 Pa/m2.4 Pa/m

実際に計算してみる(2ステップ)

STEP 1|等価長さを計算する

直管の合計:5m + 3m + 2m = 10m
エルボ換算:8m × 2か所 = 16m(表①より φ300 → 約8m)

等価長さ = 10 + 16 = 26m

STEP 2|表を見て掛け算するだけ

表②より φ300・風速8m/s = 2.6 Pa/m

必要静圧 = 26m × 2.6 Pa/m = 約 68 Pa

→ 静圧 70〜80 Pa 以上のファンを選べばOK!

まとめ:現場で使う計算フロー

  1. 直管の長さを全部足す
  2. エルボの数 × 換算長さ(表①)を足す → 等価長さ
  3. 等価長さ × Pa/m(表②)= 必要静圧の概算

※ 概算なので、実際のファン選定では求めた値の 1.2〜1.3倍の余裕を持たせるのがおすすめです。

この方法なら、図面から長さとエルボの数を数えて、2つの表を見て掛け算するだけです。慣れれば現場で1〜2分で概算が出せます。まずはこの方法で感覚をつかんでから、必要に応じて詳細計算に進んでみてください。

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繊細な設備屋けー君
設備施工管理として10年働いております。 図面作成他何かお手伝いできる事がございましたらご連絡お願いいたします 資格・・1級管工事施工管理技士、甲種Ⅰ類消防設備士、電気工事士です どうかぜひとも読んでいって下されば幸いです