ダクトの静圧とは?新人技術者向けに計算方法を図解で解説
ダクト設計で「ファンの静圧をいくつで選べばいいか」と迷ったことはありませんか。静圧(せいあつ)とはダクト壁に垂直に作用する圧力のことで、ファン選定・ダクトサイズ選定の両方に関わる最重要値です。
この記事では「静圧とは何か」から「実際の計算手順と例題」まで、表と図を使って新人技術者向けにわかりやすく解説します。
静圧・動圧・全圧の違い
| 種類 | 記号 | 意味 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 静圧 | Ps | ダクト壁への垂直圧力(流れの向きに無関係) | ファン選定・圧力損失計算 |
| 動圧 | Pv | 空気の流れが持つ運動エネルギー由来の圧力 | 風速確認・局部損失換算 |
| 全圧 | Pt | 静圧+動圧(全エネルギーの合計) | 系統全体のエネルギー収支 |
ファンカタログに書いてある「静圧」がPsです。ダクト系統の全圧力損失をこの値が上回るファンを選べば、必要な風量を送ることができます。
今回の配管図(条件を確認)
風速の推奨範囲
設計に使う風速には推奨範囲があり、外れると騒音増大や圧力損失過多の原因になります。
| 場所・用途 | 推奨風速 | 理由 |
|---|---|---|
| 居室・事務所(分岐ダクト) | 3〜6 m/s | 静かさを優先 |
| 主ダクト(幹線)← 今回の例 | 6〜8 m/s ✅ | 騒音と経済性のバランス |
| 工場・機械室 | 8〜12 m/s | 騒音より省スペース優先 |
| 高速ダクト(大型ビル) | 15〜20 m/s | ダクトを細くしてスペース節約 |
静圧計算の流れ(2ステップ)
| STEP | 作業内容 | 使うもの |
|---|---|---|
| 1 | 等価長さを求める(直管長さ+エルボ等の相当長さ) | 下記【表①】相当長さ表 |
| 2 | 等価長さ × Pa/m = 静圧損失 | 下記【表②】Pa/m表 |
【表①】エルボ1つの換算長さ(90°)
🔑 概算の考え方
エルボは「直管の何m分か」に換算できます。これを等価長さ(換算長さ)といいます。
直管の長さ + エルボの換算長さ = 等価長さ
等価長さ × 1mあたりの圧力損失 = 必要静圧(概算)
【表②】1mあたりの圧力損失(Pa/m)
| ダクト径 | 90°エルボ 1つ ≒ |
|---|---|
| φ 100mm | 約 3m |
| φ 150mm | 約 4m |
| φ 200mm | 約 5m |
| φ 300mm ←今回 | 約 8m |
| φ 400mm | 約 10m |
| φ 500mm | 約 13m |
実際に計算してみる(例題)
STEP 1|等価長さを計算する
直管の合計:5m + 3m + 2m = 10m
エルボ換算:8m × 2か所 = 16m(表①より φ300 → 約8m)
STEP 2|表を見て掛け算するだけ
表②より φ300・風速8m/s = 2.6 Pa/m
→ 静圧 70〜80 Pa 以上のファンを選べばOK!
ファン選定への活かし方
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| ファン静圧 ≥ 計算静圧損失 | この条件を満たすファンを選ぶ(不足すると必要風量が出ない) |
| 余裕率 | 計算値の1.1〜1.2倍の静圧で選定するのが一般的 |
| 複数系統がある場合 | 最も圧力損失が大きい系統(最長経路)で選定する |
| ダンパー損失も加算 | 防火ダンパー・VD(風量調整ダンパー)の損失も忘れずに足す |
まとめ:現場で使う計算フロー
- 直管の長さを全部足す
- エルボの数 × 換算長さ(表①)を足す → 等価長さ
- 等価長さ × Pa/m(表②)= 必要静圧の概算
※ 概算なので、実際のファン選定では求めた値の 1.2〜1.3倍の余裕を持たせるのがおすすめです。
図面からエルボの数と直管長さを数えて、2つの表で掛け算するだけです。慣れれば5分以内に計算できます。
📄 この記事で紹介した計算をそのまま使えるExcelテンプレートをnoteで販売中です
【設備設計】ダクトサイズ選定計算書 Excel
👉 noteで購入する(¥980)
⚡ 設備設計Excelテンプレート 9点セット
配管摩擦損失・給湯設備・換気量・ダクトサイズなど現場で使える計算書を全部まとめて
¥3,980(単品合計 ¥9,840 → 約60%OFF)
noteで購入する →