「配管サイズ、どうやって決めるの?」──新人技術者が最初に直面する疑問のひとつが給水配管の口径選定です。この記事では、建築設備の給水設計で使われる負荷単位法の考え方をゼロから解説します。さらに、実際の口径選定に役立つインタラクティブな配管流量線図ツールも組み込みましたので、ぜひ実務でご活用ください。

給水負荷単位法とは?

給水配管を設計するとき、「全員が同時に水を使うこと」を前提にすると配管が過大になってしまいます。かといって小さすぎると水圧不足が起きます。そこで使われるのが負荷単位法(Fixture Unit Method)です。

各衛生器具(洗面器・便器・浴槽など)に「負荷単位(FU:Fixture Unit)」という係数を割り当て、合計値から同時使用率を考慮した設計流量を算出します。日本では空気調和・衛生工学会(SHASE)の基準が広く使われています。

主要衛生器具の給水負荷単位一覧

まず、代表的な衛生器具の負荷単位を確認しましょう。

衛生器具給水負荷単位(FU)瞬時最大流量の目安(L/min)
洗面器28〜10
大便器(洗浄弁式)10100〜120
大便器(ロータンク式)512〜15
小便器(洗浄弁式)515〜20
浴槽(一般住宅)430〜40
シャワー380〜120
台所流し212〜15
掃除用流し415〜20
飲料水用水栓15〜8

負荷単位合計→設計流量の換算

器具の負荷単位を合計(ΣFU)したら、次の換算表で瞬時最大流量(設計流量)を求めます。この値が配管サイズ選定の基準になります。

負荷単位合計(ΣFU)設計流量(L/min)(m³/h)
5約 20約 1.2
10約 35約 2.1
20約 55約 3.3
30約 70約 4.2
50約 90約 5.4
100約 130約 7.8
200約 190約 11.4
300約 240約 14.4
500約 310約 18.6
1000約 450約 27.0

配管口径選定の手順(3ステップ)

実際の設計では次の手順で進めます。

  1. 器具の負荷単位を集計する:設計対象の全衛生器具の FU を合計します(ΣFU)。
  2. 設計流量を求める:上の換算表から設計流量(L/min)を読み取ります。
  3. 流量線図で口径を決める:下のツールに流量を入力し、流速 1〜2 m/s・摩擦損失 400 Pa/m 以下を目安に配管口径を選定します。

配管口径選定のポイント

口径選定で押さえておくべき主な基準はこちらです。

項目給水配管の目安備考
流速1.0〜2.0 m/s2.0 m/s 超はウォーターハンマーに注意
単位摩擦損失200〜400 Pa/m長距離配管は小さめに設定
最小管径15A(給水枝管)JIS 規格最小サイズ
使用管材SGP / VP / ライニング鋼管用途・腐食環境で選択

【図解ツール】配管流量線図(ウィリアムス・ヘーゼン式)

以下のインタラクティブツールで、配管の流量・流速・単位摩擦損失の関係を確認できます。管材(SGP/VP/ライニング鋼管)をタブで切り替え、選定ツールに流量を入力するだけで推奨管径が表示されます。

配管流量線図(インタラクティブ)

ウィリアムス・ヘーゼン式 Q = 0.2785 × C × D²·⁶³ × I⁰·⁵⁴ / 管種タブを切り替えてご使用ください

📊 チャートの見方: 縦軸(流量 L/min)と横軸(単位摩擦損失 Pa/m)の交点が目的の斜線(管径ライン)上に来るよう読み取ります。 緑の帯が推奨流速域(1〜2 m/s)です。チャート上でマウスを動かすとその点の詳細値が表示されます。
■ SGP特記:JIS G 3452 配管用炭素鋼鋼管。腐食による経年変化を考慮して C=100 を使用(新管実測値は C=120 程度)。推奨流速:給水 1.0〜2.0 m/s / 消火 2.0〜3.0 m/s

🔍 配管サイズ選定ツール

参考資料:管径別 基準流量一覧表 (単位:流量 L/min(m³/h)/ 摩擦損失 Pa/m)
管径内径
mm
流量@1.0m/s
L/min(m³/h)
流量@1.5m/s
L/min(m³/h)
流量@2.0m/s
L/min(m³/h)
摩擦損失
@1.0m/s Pa/m
摩擦損失
@1.5m/s Pa/m
摩擦損失
@2.0m/s Pa/m
15A16.112 (0.7)18 (1.1)24 (1.5)163434635900
20A21.722 (1.3)33 (2.0)44 (2.7)115424454165
25A27.335 (2.1)53 (3.2)70 (4.2)88318703186
32A35.559 (3.6)89 (5.3)119 (7.1)65013772345
40A41.280 (4.8)120 (7.2)160 (9.6)54611571971
50A52.7131 (7.9)196 (11.8)262 (15.7)4108681479
65A68.9224 (13.4)336 (20.1)447 (26.8)3006351082
80A80.7307 (18.4)460 (27.6)614 (36.8)249528900
100A105.3523 (31.4)784 (47.0)1045 (62.7)183387660
125A130.8806 (48.4)1209 (72.6)1612 (96.7)142301512
150A155.21135 (68.1)1703 (102.2)2270 (136.2)116246420
200A204.71975 (118.5)2962 (177.7)3949 (237.0)84178304
管径内径
mm
流量@1.0m/s
L/min(m³/h)
流量@1.5m/s
L/min(m³/h)
流量@2.0m/s
L/min(m³/h)
摩擦損失
@1.0m/s Pa/m
摩擦損失
@1.5m/s Pa/m
摩擦損失
@2.0m/s Pa/m
13A13.89 (0.5)13 (0.8)18 (1.1)120425504344
20A20.620 (1.2)30 (1.8)40 (2.4)75415982722
25A26.633 (2.0)50 (3.0)67 (4.0)56011862020
32A32.650 (3.0)75 (4.5)100 (6.0)4419351594
40A42.083 (5.0)125 (7.5)166 (10.0)3286961186
50A53.0132 (7.9)199 (11.9)265 (15.9)250531904
65A68.0218 (13.1)327 (19.6)436 (26.1)187397676
75A79.0294 (17.6)441 (26.5)588 (35.3)157333567
100A101.0481 (28.8)721 (43.3)961 (57.7)118250426
125A124.0725 (43.5)1087 (65.2)1449 (86.9)93197335
150A146.01004 (60.3)1507 (90.4)2009 (120.5)77163277
200A192.01737 (104.2)2606 (156.3)3474 (208.5)56118201
管径内径
mm
流量@1.0m/s
L/min(m³/h)
流量@1.5m/s
L/min(m³/h)
流量@2.0m/s
L/min(m³/h)
摩擦損失
@1.0m/s Pa/m
摩擦損失
@1.5m/s Pa/m
摩擦損失
@2.0m/s Pa/m
15A14.19 (0.6)14 (0.8)19 (1.1)117424874237
20A19.718 (1.1)27 (1.6)37 (2.2)79516832868
25A25.330 (1.8)45 (2.7)60 (3.6)59312572142
32A33.553 (3.2)79 (4.8)106 (6.3)4289061544
40A39.272 (4.3)109 (6.5)145 (8.7)3567541285
50A50.7121 (7.3)182 (10.9)242 (14.5)264559952
65A66.9211 (12.7)316 (19.0)422 (25.3)191404689
80A78.7292 (17.5)438 (26.3)584 (35.0)158335570
100A103.3503 (30.2)754 (45.3)1006 (60.3)115244415
125A128.8782 (46.9)1173 (70.4)1564 (93.8)89188321
150A153.21106 (66.4)1659 (99.5)2212 (132.7)73154262
200A202.71936 (116.2)2904 (174.3)3872 (232.3)52111189
※ ウィリアムス・ヘーゼン式による計算値。給水配管の推奨流速は 1.0〜2.0 m/s、単位摩擦損失は 200〜400 Pa/m が目安です。

参考:日本製鉄 配管流量線図

以下は、日本製鉄が公開している配管流量線図です(出典:日本製鉄 建設設備配管情報サービス)。本記事のインタラクティブツールはウィリアムス・ヘーゼン式に基づいており、これらの参考線図と同じ計算根拠を用いています。

① 配管用炭素鋼鋼管(SGP)C=100

配管用炭素鋼鋼管(SGP)流量線図(出典:日本製鉄)

出典:日本製鉄 建設設備配管情報サービス/本資料は一般的な情報の提供を目的とするもので、設計用マニュアルではありません。

② 水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管(SGP-VA/VB)C=130

水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管(SGP-VA/VB)流量線図(出典:日本製鉄)

出典:日本製鉄 建設設備配管情報サービス/本資料は一般的な情報の提供を目的とするもので、設計用マニュアルではありません。

③ 塩化ビニル管 VP(C=130)につうて

塩化ビニル管 VP は鉄鋼メーカーではなく積水化学・クボタケミックス等の樹脂管メーカーが製造するため、日本製鉄の流量線図には掲載されていません。C=130 の流量線図は上記のインタラクティブツール(「塩化ビニル管 VP(C=130)」タブ)でご確認ください。

計算例:事務所ビル 1 フロアの給水幹管を選定する

実際の例で確認してみましょう。

【条件】事務所ビル 1 フロア:男子トイレ(洗浄弁大便器 3 台 + 小便器 3 台 + 洗面器 3 台)+女子トイレ(洗浄弁大便器 3 台 + 洗面器 3 台)

【負荷単位の集計】
大便器(洗浄弁)6 台 × 10 FU = 60 FU
小便器(洗浄弁)3 台 × 5 FU = 15 FU
洗面器 6 台 × 2 FU = 12 FU
合計:87 FU → 設計流量 約 120 L/min(7.2 m³/h)

【口径選定】上のツールで「SGP」タブを選び、流量に「120」、最大流速「2.0」、最大摩擦損失「400」を入力すると、65A が推奨されます(流速約 0.9 m/s、摩擦損失約 100 Pa/m)。

まとめ

  • 給水配管の口径選定は負荷単位法(FU)で設計流量を算出することから始まる
  • 設計流量が決まったら配管流量線図で流速・摩擦損失を確認して管径を決定する
  • 給水配管の目安は流速 1〜2 m/s、摩擦損失 200〜400 Pa/m
  • 管材ごとに〦ィリアムス・ヘーゼン係数(C 値)が異なるため、SGP・VP・ライニング鋼管を使い分ける
  • 上のインタラクティブツールを使えば、流量を入力するだけで推奨管径を即座に確認できる

配管設計は「公式を覚えること」よりも「なぜその管径を選ぶのか」を理解することが大切です。ぜひはのツールを繰り返し使って、感覚を身に付けてください。

ABOUT ME
繊細な設備屋けー君
設備施工管理として10年働いております。 図面作成他何かお手伝いできる事がございましたらご連絡お願いいたします 資格・・1級管工事施工管理技士、甲種Ⅰ類消防設備士、電気工事士です どうかぜひとも読んでいって下されば幸いです