仕事(設備屋の話)

近い将来建築物が建てられなくなる日が来る

かなり深刻だと思う日本の建設業界

日々設備屋として地元の建築業者様からお仕事を頂いております。ありがたい事です。

仕事が途切れない事は有り難いと感じる反面、年々建設業全体が衰退してきているなとも思います。

人手不足や高齢化、材料の高騰、無理な工事の工期設定などさまざまな問題があります。

特にひどいのが、建設業界は建物を建てたいとの需要は日本全体にあるのに「安くしてほしい」「追加費用は出せない」など施主側の予算の関係上で請負金額が厳しくなり儲けが少なくなっている事です。

矛盾関係になっております

建設業全体が良い状態ではないのは、建築ゼネコンと呼ばれる建築会社が一括して工事を受ける仕組みが最大の問題点だと思います。

また他に問題点がないかを下請けとして働く設備屋なりに考えてみました。

人手不足と技術不足

まず人手がいない事です。建設業は慢性的な人手不足に悩まされています。

施工管理技士から職人まで実際に建物を建てるために必要な人的資本の数が少ないです。

特に職人がいないと建物ができません。職人の数が少ないと言うことは新しく業界に入ってくる若手もいない事になります。

精神面と肉体面の両面でハードな建設業の人手不足が今後解消される事はないと思います。

新しく入る若手がいないと技術の継承が次世代に引き継げなくなり、結果的に技術を持った優良な職人がいなくなるのです。

建設業の人手不足と技術不足の問題はこの後数年の間でさらに加速していくと思います

ゼネコンと呼ばれる建築元請の問題

批判を承知で申し上げますが、建設業界が若手から人気がなく離職率も高く衰退しているのは質の悪い建築元請が原因だと思ってます。

建設業はゼネコンと呼ばれる建設元請から専門工種を行う下請けに対して仕事を依頼する仕組みとなっていますが、そもそも私はこの仕組みが問題だと思っています

建築元請は建築工事の知識しかありません。建築元請の職員の方が機械設備工事・電気設備工事の専門分野の知見があまりないのに工事を一括で受けてマネジメントしていく事自体無理があるのです。

ゼネコンにも設備担当者と呼ばれる電気や設備工事の知見を持った人もいますが、現場で設備工事の指揮を取るのは私たちサブコンの現場管理者です。

質の悪い建築元請は建築工事優先で工事管理を行うため設備工事の工程を確保せず設備業者に無理を押し付けてくる建築会社も多々あります。

建築工程を優先させて「設備工程は自分たちでなんとか考えろ」的な現場管理をするゼネコンが大半です。

設備屋の若手はまずこの無茶振りでメンタルをやられます。

そしてやめていくのです。うちの若手を返せ。。

そんな元請が現場全体に対して良いマネジメントなどできるはずもありません

それでいて各下請けからの見積もりに対して10%から15%利益を乗せた状態でエンドユーザーである施主に最終見積もりを提出すれば金額も高くなります。

建物の規模にもよりますが、専門工種の金額自体も安いものではないので施主様の負担も大きくなります

簡単に言うと質の悪いゼネコンが設備屋、電気屋からの見積もりに対して無駄な金額を乗せすぎなのです。

そりゃお客さんも高いと感じるよ。

施主が費用を高いなと感じるのは当然で値引き交渉が入り建築元請は自社の利益が優先なため下請けに対して値下げを要求します。ですがその値下げ要求が根本的に間違いなのです。

先ほども説明した通り機械設備工事、電気設備工事は専門工種です。

言葉は悪いですが、建築元請は下請けの労働力を仕入れて施主に売るだけの仕事です。

現場で設備工程の管理もきちんと確保できないようなゼネコンが根拠のない値下げ要求をしてくるのがそもそもの間違いなのです。値下げ要求をするなら作業がスムーズにでき無茶な工数をかけなくて済む工程管理をしてほしいです

本当にきちんとしたマネジメントを建築元請ができているのか

先ほど申し上げた通り建築元請は仕事を一括して受けていているので、必ず全ての下請け業者が作業をスムーズにできるようにマネジメントしなくてはいけません。

ですが本当に良いマネジメントができているか非常に疑問です

  1. 建物の収まりをきちんと確認できてない
  2. 各下請けが必要な情報は何かを把握できていない
  3. 各下請けが必要な作業を把握できていない
  4. 業者が必要な正確な図面を渡せない(平面詳細図や天井伏せ図など)
  5. そもそも下請けが必要な作業ができる工程管理ができていない
  6. 工程調整を下請け業者同士で話をさせる
  7. 高圧的な態度で威圧し設備屋は自分で考えろ的な発言をしてくる
  8. 飲食の強要をしてくる(最近は減りましたが今も十分にあると思います)
  9. 見積もり以外の仕事も押し付けてくる

上記の問題点を抱えた元請が多数います。

ですがゼネコンから仕事を受けている立場上喧嘩になりそうな場合もグッと堪えて業務を行わないといけない時もあります。

建築元請がお客さんになるので喧嘩をすれば仕事がやりにくくなるのでグッと我慢しています

設備の辛いところではありますね。

何度も重複して伝えますが、上記のような適正なマネジメントができない建築業者が安易に下請けに値下げを要求するべきではないと思います。

私自身に言えますが、自分の能力の低さを下請けに押し付けてはいけないのです。

施主から工事金額が高いと言われても、自分たちがうまくできない事を下請けにお願いしているのだからまず建築元請である自分たちの利益を削るべきです。

私は強く思います

お客である施主も意識を変えないといけない

また安い物に慣れすぎた日本においてお客である施主側も意識を変えてほしいと思います

  1. 当初の請負金額から変更要望が発生しても「これくらいサービスしてくれませんか」などと言った無償での作業要求。
  2. 作業工程がかなり進んだ状態からの追加変更作業の要求。(場合によっては設備配管などを一度バラして組み替える作業が発生します)
  3. 無茶な工期設定を依頼してくる(予算がないから突貫工事で終わらしてほしい)など
  4. 工期がないのに決め事を決めてくれず材料の発注がかけられない

お客様は神様では有りません。作業がスムーズにできるように配慮をしてもらいたいです

ゼネコンをと呼ばれる仕組みを解体すれば良いのではないか

私は建築元請(ゼネコン)と呼ばれる建築元請が一括して仕事を請け負う今の建設業の仕組みに問題があるのではないかと思っています。

公共工事では設備工事、電気工事が分離発注になっていますが、民間工事も分離発注にしてしまえば良いと思います。

建築元請が下請けからの見積もりに対して数パーセント上乗せして利ざやを稼ぐ仕組みを辞めさせれば、下請けも儲かるし施主様の金銭的な負担を減らせると思います

結局何が問題なのか。

何度も言いますが、建築元請が現場に入る全ての業者に対して、良い工事マネジメントができておらず工程管理はできない、パワハラまがいな態度で作業をさせる、全て下請けに押し付ける、そしてなおかつ値下げを要求してくる事です。

このような態度では各下請けで働く若手の人はやめていきます

結果建設業全体が人手不足になるのは当然です。

建設業で働く若手

この時代仕事なんかいくらでもあるしこんな建設業なんか別に選ばなくていいや。

さっさとやめよっと。

ゼネコンと呼ばれる建築元請や施主の意識を変えない限りに日本の建設業界は今後5年で衰退すると思います。

近い将来建築物を建てる事が困難になると思います。

今回はネガティブな内容になってしまいましたね。

ではまた!

ABOUT ME
繊細な設備屋けー君
子ども3人の子育てをしながら、建設業界の設備屋として約10年働いています。 日々精神的に追い詰められながら奮闘しています。 建設業界には絶対マッチしない繊細な気質でありながらも自身を変えていく過程や施工管理として働いて体験した内容をブログにて示したいと思います。 子育ての奮闘記もブログに記していきたいです。 私には目標がありその目標を達成したいと思います。 資格・・1級管工事施工管理技士、甲種Ⅰ類消防設備士、電気工事士です どうかぜひとも読んでいって下されば幸いです